iPhone、分割払いの残債があっても売れる?法律と実務の両面から専門家が解説

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はじめまして。「iPhoneトラブル解決ナビ」主席コンサルタントの神崎修です。私はこれまで、修理・買取の現場で1万件以上のiPhone関連のトラブルに向き合ってきました。

今回、多くの方から「分割払いの途中なのですが、iPhoneを売っても大丈夫ですか?」というご相談をいただきます。新しい機種に乗り換えたい、急にまとまったお金が必要になった、さまざまな事情がありますよね。「でも残債が残っているから売れないはず」と最初から諦めている方も少なくありません。

結論から申し上げると、残債があるiPhoneは売ることができます。ただし、「何も考えずに売ってよい」というわけではありません。法律の視点と実務の視点の両方から正確に理解しておかないと、後から思わぬトラブルに巻き込まれるリスクがあります。

この記事では、法律面・実務面の両方を踏まえて、残債ありiPhoneの売却について、正確でわかりやすく解説します。一緒に確認していきましょう。

そもそも「残債あり」とはどういう状態か

まず前提を整理しておきましょう。

キャリア(ドコモ・au・ソフトバンクなど)で端末を購入する際、多くの方が「分割払い」を選択されています。最新のiPhoneは20万円を超えるモデルも珍しくないため、毎月数千円ずつ支払う分割払いは家計の面で非常に合理的な選択です。

この分割払いの契約は、割賦販売法(昭和36年法律第159号)に基づく割賦契約の一形態です。キャリアが端末代金の支払いを分割で受け取る代わりに、消費者はその場で端末を手にすることができます。「残債」とは、この分割払いのうち、まだ支払いが完了していない残りの金額のことを指します。

キャリア分割とクレジットカード分割は別物

ここで非常に重要なポイントがあります。「分割払い」には2種類あり、取り扱いが異なります。

支払い方法概要残債・ネットワーク利用制限との関係
キャリアの分割払い端末代をキャリアに直接分割で支払う契約残債あり → ネットワーク利用制限「△」が付く
クレジットカードの分割払いカード会社を通じた分割払いキャリアとの残債関係なし → 制限「△」は付かない
Paidy(Apple直販)などAppleと信販会社の間の契約キャリアとの残債関係なし

この記事で主に扱うのはキャリアの分割払いによる残債です。クレジットカードやPaidyで購入された場合、キャリアのネットワーク利用制限とは無関係なため、通常通り売却が可能です。

残債ありのiPhoneを売ることは合法か?

「残債があるのに売っていいの?」と不安に思う方が多いのですが、結論として、残債があるiPhoneを売ること自体は違法ではありません

所有権はどこにある?

法的な観点から整理します。キャリアの分割払いで購入したiPhoneの「所有権」は、実は購入時点でユーザーに移転しています。車のローン購入と異なり、キャリアが端末に所有権留保を設定するケースは一般的ではありません(なお、AppleストアでPaidyを使った割賦契約の場合は所有権留保が設定されるケースがあります)。

つまり、キャリアの分割払いで購入したiPhoneは、法的にはあなた自身の所有物です。自分の所有物を売ることは、当然の権利です。

ただし「残債の支払い義務」は売った後も続く

重要なのはここです。iPhoneを売却しても、キャリアとの割賦契約はそのまま有効です。つまり、端末を手放した後も、残りの分割払いを支払い続ける義務が売った本人に残ります

買取店に持ち込む際、ほぼすべての業者が「完済するまで分割払いを続けること」を買取の条件として設定しています。この義務を守らずに滞納すると、深刻な問題が起きます。

「ネットワーク利用制限」とは何か——○・△・×の意味

残債ありのiPhoneを売却・購入する上で、必ず理解しておかなければならない概念が「ネットワーク利用制限」です。

各キャリアは、IMEI(International Mobile Equipment Identity:端末識別番号)という番号を用いて、端末ごとの支払い状況を管理しています。この状況は各キャリアの照会サイトで誰でも確認できます。

判定意味売却への影響
○(マル)一括払い済み、または分割払い完済最高値での買取が期待できる
△(サンカク)分割払いの途中(残債あり)多くの業者で買取可能。ただし減額になる場合も
×(バツ)=赤ロム支払い滞納・不正契約など通信制限状態ほぼすべての業者で買取不可
−(ハイフン)判定不明(購入直後・修理交換直後など)要確認

「△」は現在支払い中であることを示し、その状態では端末は問題なく使えます。しかし「×」(赤ロム)になると、キャリアのモバイル通信が完全に使えなくなります。一度「×」になると、原則として解除は不可能です。

残債の有無を確認する方法

売却を検討する前に、まず自分のiPhoneの状態を確認しましょう。手順は以下のとおりです。

  • まずiPhoneのIMEI番号を確認する(「設定」→「一般」→「情報」→「IMEI」)
  • 電話アプリの発信画面で「*#06#」と入力する方法でも確認できる
  • 購入したキャリアの「ネットワーク利用制限携帯電話機確認サイト」にアクセスし、IMEI番号を入力して判定結果を確認する

各キャリアの確認サイトは以下のとおりです。購入したキャリアの照会ページにアクセスしてください。

  • ドコモ:「ネットワーク利用制限確認」ページ(ドコモ公式サイト内)
  • au:「ネットワーク利用制限照会」ページ(au公式サイト内)
  • ソフトバンク:「ネットワーク利用制限携帯電話機の確認」ページ(ソフトバンク公式サイト内)
  • 楽天モバイル:楽天モバイル公式の確認ページ(ただし楽天の端末購入はクレカ払いのためキャリア分割ではなく対象外の場合あり)

なお、購入キャリアが不明な場合は、「ネットワーク利用制限チェッカー」のような複数キャリアを一括で確認できるウェブサービスを活用すると便利です。

売却の3つの方法:比較と選び方

残債ありのiPhoneを売る方法は、主に3つあります。それぞれのメリット・デメリットを把握した上で、自分の状況に合った方法を選びましょう。

① スマートフォン専門の買取店を利用する

最もおすすめの方法です。多くの専門買取店が「△(残債あり)」の端末を受け付けており、買取価格も比較的高い傾向があります。

  • 業者によっては△でも減額なし(にこスマ買取など)
  • じゃんぱらでは、売却時に一部を受け取り、完済後に残りを受け取る「分割買取」サービスあり
  • 買取後の残債滞納には厳しい条件(全額返金+損害賠償2倍相当)が設けられていることが多い

② Apple Trade In(下取り)を利用する

Appleの公式下取りプログラム「Apple Trade In」も残債ありの端末を受け付けています。割賦残債がある場合も申し込め、「残債の支払いはキャリアへ引き続き行う必要がある」という条件が明示されています。新機種への買い替えと同時に手続きできるため、乗り換えの際には便利な選択肢です。

③ キャリアの下取りプログラムを利用する

ドコモ・au・ソフトバンクでも、新機種への機種変更時に旧端末を下取りに出すサービスを提供しています。こちらも残債ありのまま手続き可能です。ただし、専門買取店と比べると下取り価格が低い場合が多いという点は念頭に置いておきましょう。

絶対にやってはいけないこと:フリマアプリへの出品

残債ありのiPhoneをメルカリやヤフオク!などのフリマアプリ・オークションサイトに出品することは禁止されています

各プラットフォームのガイドラインでは、ネットワーク利用制限「△」「×」の端末の出品を明確に禁止しています。違反した場合はアカウント停止などの措置が取られます。さらに、売却後に滞納が発生して「×」になった場合、購入者は何も知らずに使えない端末をつかまされることになります。これはトラブルの温床です。

繰り返し転売目的の売却は詐欺罪にあたる可能性がある

「残債ありでも売れるなら、分割払いで契約してすぐに売って、また新しい端末を分割で買えば儲かるのでは?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、最初から転売を目的として分割契約を繰り返す行為は、詐欺罪(刑法第246条)に該当する可能性があります。詐欺罪の構成要件のひとつに「人を欺く行為」がありますが、「自ら使用するために購入する」という前提でキャリアと契約しながら、実際には転売目的であった場合、これが「欺罔行為」と認定されるリスクがあるからです。

逮捕事例も実際に存在します。繰り返しの転売目的での分割購入は、絶対に行わないでください。通常の個人利用の範囲での売却とは、明確に異なります。

売却後に残債を滞納したらどうなるか

残債ありのiPhoneを売却した後も、分割払いの支払いを続ける義務があることは前述のとおりです。もし滞納が発生した場合、以下の影響が生じます。

  • キャリアが端末のネットワーク利用制限を「△」から「×」に変更する
  • 買取業者は端末を再販できなくなり、損害を受ける
  • 買取時の契約に基づき、買取金額の全額返金を求められる
  • さらに損害賠償として買取代金の2倍相当額を請求される可能性がある(業者によって異なる)
  • 信用情報にも影響が出る可能性がある

ゲオの規約を例に挙げると、万が一支払いが滞り端末が使用不能となった場合、買取金額の全額返金に加え、損害賠償金として買取代金の2倍相当額の支払いが求められます。これは業界的に広く採用されている条件です。

売却前には、自分が本当に最後まで残債を支払い続けられるかどうかを、しっかりと確認してください。

残債ありでも高く売るための実践的なアドバイス

せっかく売るなら、少しでも高く売りたいですよね。私の現場経験から、いくつか実践的なポイントをお伝えします。

完済してから売ると査定額が上がる

当たり前に聞こえるかもしれませんが、残債を先に一括で支払って「○」の状態にしてから売ることが、最も確実に高値を出せる方法です。残債の額と、○になったときの査定額の差を比較して、判断してみてください。

外箱・付属品を揃えておく

外箱や純正の充電ケーブル、SIMピンなどが揃っていると「完品」として査定額が上がる傾向があります。買取業者がより高い価格で再販できるからです。

端末をきれいな状態に保つ

画面割れや傷は査定額に直結します。売却を検討しているなら、ケースとフィルムでしっかり保護することが大切です。

新機種発売前に売る

iPhoneの買取相場は、新機種発売後に旧機種の価値が下がります。秋ごろに新機種が発表・発売されるため、その直前に売るのが価格的にベストなタイミングです。

複数社で相見積もりをとる

買取価格は業者によって大きく異なります。1社だけで判断せず、複数社に査定を依頼して比較することを強くおすすめします。

売却代金と残債の関係——賢い活用方法

残債ありの状態で売却した場合、手元に売却代金が入ります。この代金を残債の繰り上げ返済に充てるという選択が、非常に賢明です。

たとえば残債が8万円残っているiPhone 14を、買取店で7万円で売却できたとします。この7万円をそのまま残債の一括返済に充てれば、差額の1万円を支払うだけで分割払いの義務を完全に終わらせることができます。その後、新しいiPhoneを分割で購入しても、「前の端末の残債+新端末の分割払い」という二重払いの状態を最短で解消できます。

また、残債が残ったまま放置すると、滞納リスクが継続します。できるだけ早く完済することで、ネットワーク利用制限が「×」に変わるリスクをゼロにできます。売却代金は残債の返済に最優先で回すことを強くお勧めします。

まとめ

この記事のポイントを振り返ります。

  • 残債がある状態でiPhoneを売ること自体は、法律上問題ない
  • ただし、キャリアの分割払い義務は売却後も続くため、最後まで支払い続けることが大前提
  • 売却前に必ずIMEIで「ネットワーク利用制限」の状態(○・△・×)を確認する
  • フリマアプリへの「△」端末の出品は禁止されており、専門買取店・Apple Trade In・キャリア下取りを利用する
  • 転売目的の繰り返し購入は詐欺罪のリスクがあるため、絶対に行わない
  • 売却後に滞納すると、全額返金+買取代金2倍相当の損害賠償が発生するリスクがある

「正しい知識と正しい手順」があれば、残債ありのiPhoneも安全に、そして賢く売却することができます。焦らず、一つひとつ確認しながら進めていきましょう。

何かご不明な点があれば、いつでもこのサイトで情報を探してみてください。あなたのiPhoneが、最善の形で次のステージへ進めることを願っています。

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